初代介助犬ニッキーと2代目介助犬アルファとの、ささやかにしあわせな日々。
ハイテンションな日
 今日は何故かテンション高くやる気のあるニッキーさん。こういう日は、何かとやってきて「何か用事は?」とアピールする。
 引退して3年以上経ってもこの習慣が変わっていないって、すごい。
 道の左端を真っ直ぐゆっくり歩くとか、指示されたらすぐに座ったり伏せたりするとか、そういう部分は随分といい加減になってしまったのに、何かを持ってくるとか、紐をくわえて引っ張るとか、「仕事兼遊び」は、楽しいから今でもやりたがる。
 この間は、するっと落としてしまった紙切れを、昔と同じように前足で引き寄せて真ん中を浮き上がらせ、そこをそーっとくわえて拾ってくれた。こういうコツも、身体で覚えて習慣になっているんだろう。
 ボールペンを落として、拾ってもらった。単純な仕事なのに大きなクッキーを貰えるのは、ご隠居の特権?

 若い頃身につけた習慣は、今も残っている我が家の老犬くん。一方、若い頃にとうとう身につけられなかった「体力温存」は、今もやっぱりできない。
 アルファと一緒に遊び、夕方は散歩して、疲れて熟睡していた。
| ニッキーのこと | - | - |
老犬の主張
 今日(もう昨日)の東京は雨模様。気圧が下がると私は膝が痛い。そして、私の膝が痛む時はニッキーの足の調子もよくない。同じように気圧の影響があるみたい。
 夕方母が来て、座ったままのニッキーを心配し、お腹の下に手を入れて立たせようとした。でもニッキーは足に全然力を入れない。この動作だけ見ると本当に立てないようでどきっとするけど、私も何度かニッキーの不調を見て、最近は対処法が分かるようになった。
「にっちゃん、これ食べる?」
 トリーツを見せると、ゆっくりだけどちゃんと自分で立ち上がって、歩いてくる。一瞬本気で心配した母もほっと安心。

 自分が納得しないと動かないのがニッキー。
 補助しようとすると力を抜いてだらんとするのは多分、「補助されて立つ・歩く」ことに慣れていないし、そうされたくないから。自分が動きたくないと判断した時に無理やり立たされるのも嫌い。食べ物でも名前を呼ぶのでも、本犬が歩こうと思うきっかけをあげると、ちゃんと自力で歩く。
 逆に本犬が動き回っている時に、体力温存のダウンステイをさせられる時も、不満げに指示を聞かないことがある。

「歩きたいと思えば自力で歩けるから、まだ補助はいらないよ!」
「疲れたら自分で休むから、余計な気遣いはいらないよ!」

 頑固なニッキーの、そんなメッセージを私は感じる。本犬が大丈夫だというなら、ぎりぎりまでその意志に任せよう。

 夜、本格的な雨になったら、私の膝の痛みはマックス。ということは、ニッキーの足も調子がさらに悪いはず。でも、夜ご飯を食べ終わって2時間ぐらいで、ニッキーが突然立ち上がって、部屋をうろうろし始めた。「何?」と声をかけたら、外のトイレに出せと要求。
 いつもはまだトイレの時間じゃないのに…と思いつつサッシを開けたら、ニッキーさん、トイレでいつもより大量のおしっこをした。そういえば、母と散歩した後、水を多めに飲んでいたんだった。

 人間の生活に合わせる使役犬だったニッキー。現役時代からは今の自己主張ぶりは想像できない。
 自己主張してくれる犬になってくれてよかった。体調や痛みの有無や何がしたいかを、ちゃんと教えてくれる頑固ジジイになってくれて、ありがとう。
 私が決めた人生を介助犬ニッキーが支えてくれたように、ニッキー自身が決めた犬生を、今度は私が支えよう。どんどん私に指示を出してね、ニッキー。
| ニッキーのこと | - | - |
補助ハーネスを脱ぐ
 3日に立てなくなり、その翌日は介護用の補助ハーネスを使い、そのまた翌日にほぼ完全に元通りになったニッキー。万一また立てなくなったら…と思って念のために着せておいたけど、今日はもう、補助ハーネスもいらない。ゆっくりだけど散歩もいつもと同じ距離を歩く。

[写真]5月4日のニッキー。表情に元気がなく、足が滑っている。

[写真]表情が元気になった今日のニッキー。

 5月4日と今日では、動きも表情も大分違う。アップで写真を撮ると、マズルのハゲがちょっと気になるけど、それはまあいいとして、家族全員一致で補助ハーネスを外すことにした。着けっ放しだと暑そうで。

「ニッキー、しばらくはこのハーネス、必要ないみたいだね」
 背中のファスナーを外すと、ニッキーは自分で足をハーネスから抜き、さらにそのハーネスを床からくわえ上げて渡してくれた。

[写真]ハーネスのファスナーを外して。

[写真]ピンボケ、どアップ、補助ハーネスをくわえて渡しにきたニッキー。

 ニッキー、元気になってくれてありがとう。
 神さま、幸せな時間をおまけしてくれてありがとう。

| ニッキーのこと | - | - |
あっさり復活
 午後、母がやってきた。滅多に来ない父も一緒で「おい、ニッキー、大丈夫か?」
 ニッキーさん、いつもどおり立ち上がってお出迎え。しっぽふりふりで母と散歩に出かけていった。
 そう、家族の悲壮な覚悟と全然比例せず、意外なほどあっさりと完全復活!
 一昨日、立ち上がれなかったニッキーを直接見た母はすごく喜んでくれたけど、具合が悪いところを見てない父は感動なし。「なんだ、いつも通りか」…まあね。

 老いという緩やかな下り坂を進むニッキー。時々大きな段差を降りるように、できていたことができなくなったり、薬が増えたりする。今回は、その段差からまたもとの緩やかな下り坂に戻れたようだ。
 薬が効いたのかもしれないし、食欲が生命力を呼び起こしたのかもしれないし、ただのちょっとした不調だったのかもしれないし、他に思い当たるあのことかもしれないし。
 ともかく、家族が揃ってニッキーさんの回復を喜んだ。もちろん、老いは止まらないから、いつかはまた同じ悲しみを味わうんだけど、今、楽しい時間が少し延びたことだって、素晴らしいよね。
『生きていることは、祝うべき瞬間の連続』
 手に取った数年前の本に、そんな言葉があった。あまりのタイムリーさに、うーんと唸ってしまう。
 今ここに生きている、その瞬間は、それだけで特別で素晴らしい。そんな一瞬の連なりが、1日になり、1年になる。一緒にいられる瞬間瞬間に集中して、心から祝って過ごそう。
 ニッキー、元気になってくれてありがとう。
 ニッキーが不調で私もぴりぴりしていた間、一生懸命慰めようとしていたアルファは、すっかり回復したニッキーと、やっと笑顔になった私を見て、床の上を転がりまわって喜んだ。アルファもすごく緊張していたんだね。
 素晴らしい一瞬が、途切れずに続いてくれますように。

 そうそう。今回のことで唯一困ったこともあった。
 近所に住んでいる犬友さんに、ニッキーの介助を手伝ってもらえるように頼んだら、本当に優しい、老犬を見送った経験者ならではの言葉をかけてくれて、できる限りの手伝いをすると言ってくれて、私はとても慰められたけど…「ニッキー完全復活しましたから、いいです」って今さら、言える?
 ま、これも嬉しい悩みか。
| ニッキーのこと | - | - |
不調
 早朝4時頃から、少量の吐出を繰り返して疲れていたニッキーさん。その後、朝ごはんの食べ方もゆっくり。心配しつつハウスに寝かせておいたら、しばらくして立とうとすると、足がずるずる滑って立てない。
 大型犬の14歳。ニッキーは内臓より先に足腰が弱っているので、いつか立てなくなる時が来ると覚悟している。でも、覚悟している理性と、悲しい感情は別物だ。

 ニッキーは、何度かトライして自分の力で立てないと分かると、気持ちまで落ち込んだように、その場に横たわって動かなかった。目に力がない。
 感情を別にして、理性をフル回転させる。今できることとすべきことは何か。
 とにかく快適に過ごさせてやることと、負担をかけずにできる範囲の治療。
 母に来てもらって介護用ハーネスを着せ、風通しのいいニッキーが気に入っている場所に、ゆっくり移動させた。
 ニッキーは9歳の大病以来、病院が大嫌い。こんなに元気がない状態で、大嫌いな病院で私から離れて検査をされるのは辛いだろう。病院には行かない。
 でも、今までにも同じような吐出とふらつきを(別々だけど)やったことがあるから、以前効いた薬がまた効くかもしれない。駄目もとでかかりつけのM獣医に相談して、薬だけ出してもらうことに。
「飼い主さんの判断なら出しましょう。もし判断が間違っていても、深刻な害はありません。この薬とこの薬を同時に飲んでも問題はありません。後はこれこれに注意して」
 飼い主の選択を支持してくれ、必要な知識も提供してくれて、ありがたかった。

「大丈夫だよ。薬がきっと効くよ」と話しかけてもぐったり寝ているニッキー。せめて少しでも元気になって欲しくて、大好物のちょっと高級な犬用クッキーを差し出した。
 すると、ニッキーさん。

 立ち上がった!

 硬いクッキーをばりばり食べて、もっとくれと目を輝かせて見つめる。
 うーん、さすがニッキー、食べ物でやる気が出たのか…?

 14年の犬生のほぼ半分を介助犬としてハードに働いたニッキー。もう「私のために」がんばらなくていいよ。でも、君自身のために少しでもいい時間を長く過ごして欲しい。
 高級クッキーが生きる力になるなら毎日食べてもいい。がんばって、ニッキー。
| ニッキーのこと | - | - |
昔の合図
 白内障が進んだニッキー、特に明るいところから暗いところに移動する時に、慎重になった。足元に濃い影がある時も見えにくいようで、確認しながらゆっくり進む。
 未熟児網膜症の私も、30代で早くも併発白内障というのを経験したから、どういう時に見えづらいのかは分かっている。トイレのために1日何度か、サッシ窓から段差を降りてパティオに出るのも、暗くなってからはとても見えづらいはず。
 ふらふらしながら歩いていた時期も長い私、ニッキーの今の状態だと、下りの段差が上り以上に大変なことも想像できる。それでなくても大変な下りの段差で、足元が見えないのは、とっても大変なこと。分かってやれるからこそ、少しでも安心できるように手伝ってあげたい。
 車椅子用のスロープを通れば、いちばん確実で安全。でもニッキーさまは時々意味もなく「あっちの段差から行く」と主張する。本犬の意思を尊重してあげたいから、段差をうまく降りられるように、人間も頭を使う。
 最初に試したのは、部屋の中をうんと明るくして、足元に影ができないように煌々と照らすこと。これはニッキーに割と好評だったけど、部屋に虫が入ってくるのが難点。
 次に、アルファを先に行かせてみた。入り口出口では上位の犬が先に通るのが普通なので、アルは「先輩より先に出るなんて」と抵抗したけど、私が指示すれば先に行く。アルファの動きを見て安全を確認できるから、ニッキーも足元を気にし過ぎることなくさくっと段差を降りる。

 でも今日、ニッキーはアルファが段差を降りていくのを見ても、何故か足元を気にして降りようとしなかった。よく見えないのか、足の調子が悪いのか、タイミングを逃してサッシの内側で立ち止まっている。
「オーケイ、ストレイト・フォワード!」
 試しに、現役時代のコマンドを使ってみた。信号が青に変わった時や、私が足元を確認した後に、「安全だから、真っ直ぐ前に進みなさい」と伝える言葉。耳が遠いニッキーのために大きな声で、右手を前に出すシグナルと一緒に。
 するとニッキー、一瞬しゃんと頭を上げて、言われたとおり真っ直ぐに段差を降りて行った。
 私の「オーケイ」を信じて、見えない暗闇に、弱った足で踏み出す勇気。指示に応えた誇らしい表情。
 身体が衰えても頭脳は健在だからある意味当然なんだけど、やっぱり、その信頼がぐっとくる。
| ニッキーのこと | - | - |
朝飯前
 昨日とうって変わって、寒い雨の今日。
 久しぶりにひざが痛くなって、身体も固い感じ。朝、ベッドに座る姿勢になるまでに、いつもより時間がかかった。それから室内用のサンダルを履くけれど、昨日(というよりいつも)いい加減に脱ぎ散らかしたから、左のサンダルがあっちに転がっていて、手が届かない。
 手を伸ばしたり、ゆっくり横に移動しようとしたりしていたら、うろうろしていたニッキーが、私の様子を見て、左のサンダルを拾って渡してくれた。
 私のひざが痛い日は、ニッキーも大抵調子が悪いけど、このくらいなら朝飯前?

 引退した今も、私が困っていると助けようとしてくれるニッキー。
 その気持ちに応えるべく、私も出来る範囲の大急ぎで身支度して、自分がトイレに行くより先に、大急ぎで犬ごはんを用意した。
 ありがとう、相棒。でも、無理しないようにね。
| ニッキーのこと | - | - |
元気のもとは…
 足腰が弱って、1月の後半からふらつきも出ているニッキー。それでも散歩に行く気は満々なので、このところアルファとは別にゆっくり短距離の散歩をしていた。今日は久しぶりにアルファと一緒の散歩。
 アルファと一緒だと刺激になるのか、ただ機嫌がよかったのか、久しぶりに小走り。いつものコースを歩き終えても、まだ歩きたそうで余力もありそう。
「じゃあ、もうちょっとだけ歩こうか」
 遠くまで歩くと、途中でニッキーが疲れてしまったら、家まで帰るのが大変になる。家からあまり遠くない範囲で、ぐるぐる歩き回った。しばらく歩いて、コンビニの前の明るいところでニッキーの表情を確認すると、そろそろ満足しているようだったので家に向かった。

 帰り道でゴールデンの女の子に遭遇。飼い主同士が挨拶してから、うちの犬達もゴールデンさんに挨拶した。
 いつもは他の犬との挨拶がうまくできないアルファも、ニッキーのお手本を見て(?)、今日は上手に挨拶し、遊びに誘ったらゴールデンさんにもちゃんと応えてもらった。アル吉、ご機嫌。
 そしてニッキー、何だか若返って、自分も遊びに加わろうとし、ゴールデンさんと別れると、その後を追って走りだした!
 そういえば、このゴールデンさん、小柄でおとなしく、ニッキーの好みのタイプ。好みの女の子に会うと、いくつになっても元気が出るんだね。…飼い主的にはちょっと恥ずかしいよ。。。

 ほんのちょっとのつもりが、2時間近く歩き回って、お友達と遊んで、ニコアル大満足の散歩。ご隠居がやたら元気だったので、私も嬉しかった。
| ニッキーのこと | - | - |
都合のいい耳
 ニッキーさんの耳が遠くなったので、何かを伝える時は、分かりやすい言葉ではっきりと、できればハンドシグナルも大きく見せるようにしている。「ちょっとおいで」や「こっちね」でも理解できるけど、意味も響きもはっきりした「カム」で呼び、両手を開く、という感じ。
 分かりやすくはっきりと伝えるのは、トレーニング中は特に大切だったこと。だから、気づくと私の声のかけ方も仕草も、トレーニング時代に戻ったかも。ハンドシグナルはもともとアメリカ式、あまり使わなくなっていた英語も復活。
 オーバーアクションで「Oh, that's my boy!」なんてやってる私とそれにしっぽを振るニッキーを、日本育ちのアルファが醒めた目で見る…。

 でも。
 数日前から、お腹が空いた時間帯に気分が悪いみたいに口をくちゅくちゅ、舌をぺろぺろさせているニッキー、胃が荒れているか、胃酸が出過ぎているのかも…と、気になった私はひとりごとを言った。
「ごはんの時間じゃないけど、何か胃に優しいものを少し食べさせたらいいのかな?」
 するとニッキーさん、立ち上がって私の前にやって来て、しっぽを振っている。それからキッチンの、いつも自分がごはんを食べる位置に移動。
「食べる」とか「ごはん」とか、そういう言葉だけちゃんと聞こえてる?
 試しに「ミルク飲む?」と話しかけると、私と冷蔵庫を交互に見て嬉しそう。同じくらいの声で「ハウス」と言っても、動かない。
 うーーーん。
 確かに、寝ている時や別のことをしている時に、急に聴こえる音や声は聴こえていないようだけど、意識を向けている時、私の声や必要な音は聴こえているらしい。で、聴こえている声や音の中で、自分に都合のいいことだけを都合のいいように聴いている。
 これも老犬の知恵? 甘やかしたから仕方ない…?

 そんなニッキーさん、さっき食事中にポテトサラダが付いたスプーンを落としたら、大好きなおいもがたっぷり付いてるのに全く舐めずにスプーンの柄だけを丁寧にくわえて拾ってくれた。
 甘やかされてるのに、こういうところは昔のルールを守るのが不思議。
| ニッキーのこと | - | - |
ご隠居の趣味
 ベッドの上に置きっぱなしにしていた携帯電話を、ニッキーに頼んで持ってきてもらった。正確には、アルファに頼んだのにニッキーがやりたがったのでそのままにしておいた。
 居間から寝室へ向かう時、ついこの間までは指示を聞くと小走りになったけれど、今日はゆっくり歩いていく。私の声が聴こえていないのかな? 指示した言葉の意味が理解できなかったのかな? どっちにしても年を取ったなぁ…と思っていたら。
 ニッキーったらゆっくりと、いかにも老犬っぽい歩調で、それでもちゃんと携帯電話のストラップをくわえて戻ってきた。
 渡しやすいように低い位置に手を出して待っていると、なんと私の目の前でどっこいしょと一旦携帯電話を床に置いて、ストラップの根元の方をくわえ直すニッキーさん。自分が納得のいくくわえ方をしてから、ちっとも急がずに携帯電話を渡してくれた。

 あまりにも堂々とマイペース。今となってはもう仕事じゃなくて、きっとニッキーの趣味なんだろう。遊びと仕事、訓練中と使役犬だった頃と引退した今、区別しているのは人間だけで、犬にとっては何も変わらない。
 ご隠居、あっぱれ!
 今も仕事中に眼鏡やペンを落とすと、やってきて拾ってくれるニッキー。どうぞ存分に、やりたい時だけやりたいように、ご趣味を楽しんでください。
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