初代介助犬ニッキーと2代目介助犬アルファとの、ささやかにしあわせな日々。
才能?
 引っ越し以来愛用してきた赤いやかん、中が錆びてしまったので、ちょっと前に新しいのを購入した。今度は沸騰すると笛が鳴る。
 今日、やかんの笛が鳴っても手が離せなくて、すぐに火を止めに行かなかったら、アル吉が私の前に来て一生懸命目で訴え、やかんと私を交互にじっと見た。
 毎日、この笛の音がすると私が慌てて火を止めに行くのを見ていて、自然にアル吉は、「この音がすると、お母さんは必ず同じ行動をする」と覚えたんだろう。そして今度は、音に対応した行動をしない私に、「鳴ってますけど、いいんですか?」と教えようとした。
 インターフォンの音や、携帯電話の着信音でも、同じことをするアル吉。

 ある音に対して、何度か連続して私が同じ行動を取る→その行動を取らない時に教える
 教えても、何度か連続して無視される→教えるのをやめる

 という、彼なりの判断基準があるらしい。
 この間は、家の近くに雷が落ちてすごい音がしたので、私が思わず「うわっ!」と大きな声を出して驚いたら、次から雷が鳴り出すと教えにきて、大丈夫? と側にくっついてくれるようになった。

 犬自身が「教える」気持ちを持っているし、必要な(教えるべき)音を判断しているんだから、後は教える方法(前足でタッチとか、鼻でつつくとか)を訓練で形作ってあげれば、聴導犬になれるだろうな。
 盲導犬候補として生まれ、いろいろあって介助犬になったアル吉。パートナーを組んだ私が弱視だったから、障害物を避けたり、段差で止まったりすることも覚えた。でも、いちばん向いているのは聴導犬だったかもしれない。
 でも、アルファは訓練中、特に音に関心を示したり、教えようとしたことはないらしい。何の疑いもなく介助犬候補になった。

 聴導犬になれなかったのは、ちょっともったいないけど、介助犬になってくれて、うちの子になってくれて、ほんとにありがとう、アル吉。
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暑苦しい午後…

 映画と読書が好きな私が、DVDや本に熱中していると、控えめに存在をアピールするアルファ。
 うるさく邪魔をするのはいけないと分かっているけど、時々さりげなく身体のどこかをくっつけてくる。映画館やコンサートだともちろん静かにダウンステイしているのに、自宅だとちょっと違うらしい。

 今日も、私が映画に没頭している時に、そーっと近寄ってきたアルファ、私の左側にぴったり寄り添った。左手でちょっと撫でて、そのまま映画鑑賞。すると今度は、さらに車椅子にもたれかかり、私のひざに頭をのせる。
 エアコンがついていても、これをやられると暑い。お腹からひざにかけて、毛皮のひざ掛けが乗っかっているんだもんね。考えようによっては、冷やしてはいけないお腹と足腰を温めてくれるから、ありがたいと言えなくもない…けど、やっぱり暑い。
 私もじんわり汗ばみ、同時にアルファも暑くなったようで、口を半開きにして静かにはあはあと始めた。

 アル吉…暑いなら、無理してくっついていなくてもいいんだよ?
 君の愛情表現は、時々暑苦しい。暑苦しいほどの愛情がいつもそばにいてくれることが、私にとっていろんな支えになっているのは、よーく分かってるけど、ね。

| 後輩アル | - | - |
態度に出る犬
 外出が大好きなアルファ。それは介助犬としての「仕事」だけど、家庭犬の散歩と同じように、外を歩いて、匂いや音や、足裏の感触や空気の流れを感じる楽しみもあるんだろう。そしてもちろん、パートナーである私と一緒に行動する楽しみ、役割を与えられてそれをこなし、ほめられるという喜びも。
 いつも上機嫌でポジティブなアル吉、出かける時はさらにいつも以上に楽しげだ。でも最近、ちょっと気になることもでてきた。

 出かけるのが好きすぎて、帰り道になると突然歩く速度が遅くなり、テンションが下がってしまう。最初は疲れたのかと思っていたけど、そうではないらしい。
 電動車椅子で10キロ以上歩き回って疲れている時も、手動車椅子でいちばん近いスーパーに行っただけで、体力が有り余っている時も、この反応は同じ。逆に言えば、たっぷり歩いた時でも同じだから、散歩の量が足りない不満でもないみたい。

 最寄り駅を降りても、まだコンビニとか、どこかに用事があることがある。だから、駅を降りた時点では、まだアル吉はちょっと期待している。
 でもコーヒーショップの角を曲がると、コンビニにも銀行にも行かないで、後は家に帰るだけなのが確定。その途端、歩調がゆっくりになり、私の車椅子よりちょっと遅れぎみで、頭も下げてとぼとぼ歩きだす。
 時々うちの母にアルファと散歩に行ってもらうけど、やっぱり折り返し地点であからさまにテンションが下がるとか。

 外出が好きすぎて、帰るとなると突然うなだれるって…。いや、原因が分かっていれば問題はないけど、コーヒーショップのあたりでアルファを見た人は、「無理やり働かされてかわいそうに」と誤解するかもしれない。それだけはちょっと心配。
 まあ、今のところは小声で「帰ったらごはん!」と囁くと、さっぱり気分を切り替えて家路を楽しく歩いてくれるけど…ね。
| 後輩アル | - | - |
練習中

 今でも新しいことを覚えるのが好きなアルファ。目下練習中なのは、パティオで排泄した後、私がビニール袋で回収したブツを、バケツの中に捨てること。ニッキー先輩は自分のブツが入った袋をくわえるのを断固拒否したけど、アルは平気。これも個性?

 室内で、紙くずやらなにやらを「ゴミ」の指示でごみ箱に捨てるのはいつもやっているから、最初はバケツを指差して「ゴミ!」と言ってみた。アル吉は「はい、分かりました!」という顔をして、しっぽを得意げに揺らしながら部屋の中に駆け込んでいった。アル吉的には「ゴミ」と言われたら居間の赤いごみ箱に捨てるのが正解らしい。
 一旦覚えたことを変更するのは9歳のおっさん犬には大変そうなので、コマンド変更。「置いてきて!」
 普段「置いてきて」の指示は、自宅内のいろんなもの、いろんな場所で使う。リモコンでも目薬ポーチでも携帯電話でも、テレビ台に置くのもソファに置くのもベッドの枕元に置くのも。バリエーションを増やすのは簡単。
 袋を指して「ゲット!」、バケツを指差して「置いてきて!」
 ところがアル吉、「置いてきて」の対象がバケツと分からない様子で、うろうろした揚句、地面にぽいっと投げ捨てた。それでも本犬はちゃんとできたと思っているようで、満足げ。
 私がバケツの側まで近づけず、ちょっと離れた位置から指差すから分かりにくいんだと思う。バケツを置いた場所の両側に、車椅子用のスロープと、晩年のニッキーが窓から出入りしやすいように敷いたブロックがあって、車椅子で近づきにくい。
 普段は少し離れた所から袋をバケツに投げ込む。失敗してバケツの横に落ちて拾えないことも。だからこそアルに手伝って欲しい。
 失敗をくり返さないように、練習を中断してしばらくアルファと遊びながらシュミレーション。ブロックの上にアルファが乗り、私の方に頭を向けると、うまいことバケツに近づくのを発見。
「ゴー」と「アップ」でブロックの上に立たせて「置いてきて!」。偶然成功したところでうんと褒める。アル吉はジャンプして部屋に戻り、ペットボトルをくわえて(ごほうび自力調達?)べこべこ鳴らして喜んだ。

 後は同じように練習すれば、またひとつ手伝ってもらえることが増えるね。
 でもそれ以上に、いくつになってもこうやって、新しいことを楽しめるのが嬉しいよ。

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ナイスキャッチ

  アルファくん、ディスク型のおもちゃを投げて遊ぶ。
 狭い家の中でこんなもの投げても、別に運動にもストレス解消にもならないと思うけど、正面から声をかけてディスクもどきを投げ、空中でキャッチができたら褒める、というゲームにした。そのルールが分かるとアル吉も、一生懸命ディスクを落とさずキャッチするようにがんばった。別に、本格的にディスクドッグは目指さないけどね。目指すなら群馬のタバサ家に弟子入りしなきゃ。

[写真]青いディスクをくわえたアルファ、嬉しそう。

 上手にキャッチができたら、思いっきり褒められて得意そう。
 こんなことでも、私と遊べるのが嬉しい! って表情をしてくれるから、私も嬉しい。

| 後輩アル | - | - |
Happy Birthday!

 2月14日は、アルの誕生日。今年で9歳。

 中大型犬は7、8歳で体調の変化がある子が多いらしい。病気知らずだったニッキーが関節炎だの胃捻転だのをやったのも8歳。先輩が大きな病気をした年齢は、実はとっても不安だったけど、無事クリア!

 アルファ、元気に9歳になってくれてありがとう。
 パートナーを組んだ時には、これほど気持ちが通じ合う子になるとは思っていなかった。そしてまさか、先代ニッキーに言った同じ言葉をアルファにも言うとは思わなかった。「一生この子とパートナーでいたい、添い遂げたい、他の犬と組むことは考えたくない」と。
 6年8ヶ月の年月は、やっぱり私とアルファにもそういう特別な絆を育てていた。

 だから、アルファ。君に望むものはこれ以上何もないよ。
 いくつかよくない癖があるし、トイレの間隔も近いし、超寒がりだし、爪切りも苦手。でもそういうことは、アルをよく知っている私がパートナーである限りフォローできる。
 ただただ、これからも健康で、長生きしてくれること。できれば最後の瞬間まで一緒にいてくれること。何よりもアルファ自身が楽しく幸福でいてくれること。それだけが望み。

 誕生日おめでとう!

 本日の特別メニューは「たまねぎ抜きハンバーグ・バレンタイン風」。
 ケーキは人間用。9本のろうそく…みたいに見えるのはポッキー。火をつけたろうそくを万一しっぽで吹っ飛ばしたら大変だからね。

 記念撮影。

[写真]ケーキとハート型ハンバーグとニッキーの写真を前に、緊張した表情のアルファ。
 もっと笑って〜。

[写真]ケーキとハート型ハンバーグ、ニッキーの写真を前に、笑顔になったアルファ。
 そうそう、いいねぇ。

[写真]待ちきれずに舌なめずりをするアルファ。
「早く食べさせてくださいっ!」byアルファ

 はいはい、元気と能天気が何より。

[写真]Happy 9th Birthday Al!

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超久々にクリッカー

 新しいことを遊びながら教えるのには便利なので、いつもテーブルの上に置いてあるクリッカー。アルファはクリッカーの音をよく知っているし、この「ヒントで正解を見つける」トレーニング(ゲーム?)が得意。私がクリッカーを持つだけで楽しげにやってくる。
 今日は、トレーニングをするつもりがなかったのに、クリッカーをテーブルから落としてしまった。その音を聞きつけて、期待いっぱいの様子で足取りも軽く、アルファが駆け寄ってきた。

 いや、落っことしただけだよ?
 …と言ってももう、アル吉はやる気満々。

 仕方なく? お題を決めて久しぶりのクリッカートレーニング。しばらくクリック・トリートで遊んで、アルファはテレビの前の狭いスペースに、リモコンをふたつ重ねて置くという新ワザを習得してくれた。
 もうすぐ9歳、シニアと言われる年齢だけど、まだまだ新しいことを楽しんで吸収できる。それが「仕事」なんだけど、なんだか「楽しい趣味」みたいだね。

[写真]リモコンくわえたアル吉。

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ぶつけた

 パソコンで作業しながら、めがねを落としてしまった。車椅子を動かさないと拾えないし、動かせばめがねを踏んでしまいそう。一瞬どうしようか考えていたら、それを見てアルファが立ち上がり、私が何も言う前にめがねを拾ってくれた。
 グッド! ありがとう、あーちゃん。

 同じように物を落としても、車椅子を動かして自分で拾えることも多い。でも、車椅子の車輪ぎりぎりのところに落ちてしまったり、壁の側だったりすると、なかなか自分では拾えない。
 日々私を見ているアル吉、最近では、私が自力で拾えるケースとそうでないケースをちゃんと区別できるようで、拾えそうにない時は呼ばなくても来てくれる。拾えそうな時は呼ぶまで来ない。さすがだね。

 でも、そんな判断力があるのに。

 アルファったら、くわえためがねを私に渡そうとして勢いよく頭を上げ、スライド式のキーボード台に下から、ばこんっ! と頭をぶつけていた。
 なぜかこの場所では、何度も同じように頭をぶつけている。使わないときは引っ込んでいるキーボード台、つい存在を忘れてしまうのかも。

 コントのように、驚いてくわえていためがねを落とす(もちろんすぐ拾いなおしてくれたけど)アル。でも私は、笑わなかった。
 せっかく自分から私を助けようとしてくれたのに、笑ったら失礼だから、ね。

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ジャンプ!

  買い物に行こうと思って、財布と携帯をポケットに入れ、アルファに「行こうか」と声をかけた。

 アル、四本足を全部使って、その場で思いっきり垂直飛び!

 行き先と距離はいろいろ変わるけど、毎日必ず外出はしている。用事がなくても散歩はする。それなのにこんなに喜ぶアル。
 飛び上がるほど嬉しい。そんな喜びが毎日あるって、きっと幸せなことだよね。

 それにしても、喜怒哀楽の分かりやすい子だ。

| 後輩アル | - | - |
出かけるの?

 出かける支度を始めると、アル吉、それはそれは嬉しそうな顔をする。多分、どこの犬も同じだと思う。大好きな散歩に行けると分かれば、嬉しい表情や仕草を見せるよね。

 満面の笑みでしっぽを振り、私の顔と玄関の方を交互に見ているアル。あまりにかわいいので(親ばか?)、その顔を写真に撮りたくて、携帯電話のカメラを起動した。
 するとアル吉、私が出かけないのだと思ったらしくて、一瞬でさっきまでの嬉しそうな表情が消えてしまった。「散歩に行くよ」と言うと、また笑顔になったので、またカメラを起動して携帯電話を向けたら、やっぱりまたまたつまらなそうな顔に。
 写真撮影を諦めて、外出の時は必ず着ける、ニッキーの骨が入ったペンダントを着ける。それを見てアルファは、本当に出かける! と理解できたらしく、ダッシュで玄関へ。

 うちの介助犬のこんな様子を見ると、時々考える。
 犬にとって「仕事」と「遊び」の区別って、なんだろう。

 ボールを投げれば喜んで持ってくる。ボールの代わりに落とした鍵だったり、隣の部屋の携帯電話だったりすることもある。タオルの引っ張りっこが大好きなアルが、同じように車椅子につけた紐をくわえて引っ張る。
 大好きな飼い主と一緒に出かけて、行儀よく歩けばほめられ、きちんと止まればほめられ、時々リトリーブや引っ張りっこで飼い主と遊ぶ。介助犬の仕事と普通の犬の散歩、ちっとも変わらない。

 いざという時にはきちんと仕事をしてくれるけど、それは「嫌だけどしなければならない」じゃなく、私とのつながりがあってのこと。飼い主に愛されて、それを知っている犬なら、特別な訓練を受けていなくても、飼い主が困っている時に助けようとする。

 そんな訳で今日も、大喜びでお仕事ベストに顔を突っ込むアルファくんだった。

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